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猪狩哲也税理士事務所
所長 猪狩哲也
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FAX番号 0246-35-3332

2010年6月号   

最近の労使トラブル事例に学ぶ

1.「未払賃金請求訴訟」の増加が予想される社会的背景 −ターゲットは中小企業−
 最近、労使トラブルが増加する傾向にあります。労使は、人の問題でもあり、労働基準法も改正され、なかなか、対応が難しいというのが実情ですが、日頃から必要な労働関係書類等を整備しておくことで、ある程度は対応が可能です。

2.未払賃金請求はどのように行われるか
 従業員等(従業員や退職者)が、会社に未払賃金(残業代)の支払を求めてくる場合、次のような手段によると考えられます。
(1)従業員等の労働基準監督署への申告
 この場合、会社に労働金準監督署(労基署)の立ち入り検査(臨検)が入ります。その結果、法令違反の事実が発覚すれば、労基署から会社に対し「未払賃金を支払うこと」を促す是正勧告が行われます。
(2)個別労働紛争解決促進制度を利用したあっせん、調停従業員等からの相談に基づいて、紛争解決を図るために都道府県労働局長が助言・指導を行ったり、調停委員会(学者、弁護士その他労働問題の専門家である学識経験者によって構成)が、中立的な立場から問題解決のためのあっせんを行います。
(3)従業員から会社に内容証明郵便が届く
 未払賃金を請求する内容証明郵便が従業員等から郵送されてきた場合、内容証明郵便そのものには、法的拘束力はありませんが、専門家による指導のもとに行っている可能性が高いので、その後、何らかの対応が必要になると思われます。
(4)従業員等が労働組合(合同労働組合・ユニオン)に加入して団体交渉を行う
 従業員等が合同労働組合等に加入して、未払賃金を請求してくることもあります。この場合には、組合との団体交渉になります。
(5)労働審判に訴える
 地方裁判所への申立てによって行われる紛争解決手段です。
(6)民事訴訟に訴える
 裁判に訴える手段です。

3.中小企業に厳しい結果が予想される
 労働法規では、以下のような点から事業主に労働時間を管理する義務が生じています。
 ・賃金台帳への労働時間数の記入義務(労働基準法108条)
 ・始業・終業時刻の確認及び記録義務(厚生労働省/労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準)
4.対策
 未払賃金と残業の問題は、退職・解雇から発生しやすいといえます。トラブルの防止や、万一の備えとして、まずは雇用契約書、賃金台帳、出勤簿などの労働関係書類を整備することから始めましょう

(1)雇用契約書を必ず作成する
 雇用契約の内容は必ず書面で残してください。残業代込みの月給の場合、その時間数と金額を明確に書面に記載しておきます。
(2)賃金台帳を給与支給のつど作成する
 従業員ごとに毎月の給与計算のもとになった資料があるはずです。それをまとめたものが賃金台帳です。3年間保存します。雇用契約書の内容を反映した支払事実を証明する証拠としての役割がありますので、必ず給与の支給のつど作成します。
(3)出勤簿等で就労時間を管理する
給与体系の違う社員ごとに必ず出勤簿・タイムカード等(勤怠管理書類)は、その管理方法の違いを明確にするために様式を分けるようにします。月給制の場合には所定勤務時間外の就労時間を記載させるようにし、各日ごとの残業時間が一目でチェックできるようにします。
(4)就業規則を見直す
 すでに就業規則がある場合には、残業手当、残業のルールなどを明確にして、実際に適正に運用するようにします。
 また、就業規則がない場合には、この機会に整備しましょう。


 
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